香港映画の伝統である対汚職捜査の精神を、仮想通貨という現代の不透明な戦場へ持ち込んだ野心作です。目に見えないデータの裏に潜む人間の強欲と、それを追う捜査官たちの執念が、研ぎ澄まされたカット割りで鮮烈に描かれています。単なる犯罪劇の枠を超え、テクノロジーが倫理を追い越す時代の正義を問い直す演出が、観る者を息つく暇もなく圧倒します。
呉卓羲が見せる円熟した熱演と、馬志威らの放つ危うい煌めきが共鳴し、物語に重厚なドラマ性を付与しています。冷徹な金融犯罪をテーマに据えながら、根底に流れるのは泥臭くも熱い信念のぶつかり合いです。加速度的に進化する悪に対し、不変の矜持で立ち向かう者たちの姿は、現代社会を生きる私たちの胸に深く突き刺さるはずです。