小沢昭一という稀代の怪優が体現する、滑稽さと哀愁が同居した人間味こそが本作の魂です。車掌という人々の人生が交差する場に立つ男を、彼は単なる役柄を超え、血の通った存在として鮮烈に演じています。藤村有弘らとの絶妙な掛け合いが、昭和の熱量と心地よいリズムを作品に吹き込んでいます。
一期一会の出会いが織りなすドラマは、現代が失いつつある他者への温かな想像力を想起させます。目的地へ向かう日常の中に人生の豊かさを見出す演出は実に見事です。単なる喜劇に留まらない、旅路そのものが持つ「縁」の尊さを描いた、至高のヒューマンドラマと言えるでしょう。