本作の核心は、八〇年代初頭の空気感を象徴する美保純の「奔放さと繊細さ」が同居した圧倒的なヒロイン像にあります。単なるエロティシズムの枠を越え、都会の孤独や人肌の温もりを求める切実さを、オレンジ色の柔らかな光を駆使した映像美で描き出しています。性の悩みを鏡に、人間の心の機微を浮き彫りにする演出は実に見事です。
若き日の柳沢慎吾が見せる瑞々しいエネルギーが、作品に心地よいリズムと人間味溢れるユーモアを添えています。肉体の重なり以上に「心を通わせること」の難しさと尊さを訴えかける本作は、官能の中に深い叙情性を湛えたロマンスの傑作と言えるでしょう。観る者の魂を優しく包み込むような、至福の映像体験がここにあります。