江利チエミの圧倒的な歌唱力と躍動感が、画面全体に多幸感を振りまく点こそが本作の真髄です。彼女が体現するリズムは、高度経済成長期の東京が持つ熱狂と見事に共鳴しています。その力強い生命力は、理屈抜きで観る者の心を鼓舞し、明日への活力を与えてくれる魔法のような響きを湛えています。
有島一郎や若き日の渥美清といった名優たちが織りなす絶妙な掛け合いも、喜劇としての極致です。急激に変化する都市の喧騒の中で、変わらぬ人情の機微を鮮やかに切り取った演出は秀逸。笑いと歌を通じて時代の荒波を軽やかに乗り越える人間のしなやかさを描いた、至高の娯楽映画といえるでしょう。