本作の最大の魅力は、主演の山本昌平が放つ、野性味と哀愁が同居した圧倒的な存在感にあります。彼が体現する生き様は、単なる色事師のそれではなく、定住を拒み続ける漂泊者の哲学そのものです。谷ナオミが見せる情念の演技と相まって、画面からは肉体を超えた魂の渇望が、生々しい熱量を持って迫ってきます。
映像表現においては、昭和特有の退廃的かつ抒情的な空気感が、刹那的な愛の虚無を際立たせています。愛し合うほどに浮き彫りになる孤独、そして剥き出しの人間性がぶつかり合う凄絶なドラマ性は、現代の映画にはない濃密な熱量と普遍性を内包しています。一筋縄ではいかない男と女の掟が、観る者の倫理観を激しく揺さぶる一作です。