フィリップ・ルボの飄々とした佇まいと、若きヤニス・バールールの瑞々しさが絶妙な化学反応を起こし、単なるコメディの枠を超えた人生の機微を描き出しています。言葉を重ねるのではなく、並走する二人の距離感やふとした表情の変化にすべてを語らせる演出が、観る者の心に心地よいリズムを刻みます。
タイトルの通り「歩幅を広げる」という行為が、変化への恐れを乗り越え、自己を拡張していくメタファーとして鮮やかに機能しています。日常の延長線上にある可笑しみの中に、他者との絆が人生の歩みをいかに軽やかに変えてくれるかという深いメッセージが込められており、鑑賞後には爽快な解放感に包まれる一作です。