本作の真髄は、家族という聖域に潜む強烈なエゴイズムと、人間の底なしの欲を笑いに昇華させた鋭い風刺精神にあります。名優クリスチャン・デ・シーカとアンジェラ・フィノッキアーロが見せる阿吽の呼吸と丁々発止の掛け合いは、イタリア喜劇の伝統を継承しつつも、現代社会の歪みを鮮やかに射抜く破壊力を秘めています。
美しい地中海の情景と裏腹に、暴走していく登場人物たちの滑稽な執念が、観る者の道徳観を心地よく揺さぶります。金と愛情の境界線を問うシニカルなメッセージは、単なるコメディの枠を超え、現代を生きる私たちの深層心理を映し出す鏡のようです。剥き出しの人間臭さが爆発する、極上のエンターテインメントに仕上がっています。