あらすじ
ヨーロッパからニューヨークにやってきたばかりの青年が、自分の知る由もなく、制御もできない一連の出来事に巻き込まれていく。
作品考察・見どころ
ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレが放つ本作は、厳格な形式美によって社会の不条理をえぐり出す。静止画のような構図と抑制された演技が、言葉の背後にある冷酷な力関係を剥き出しにする様は圧巻だ。視覚的・聴覚的な情報の断捨離が、観る者の感性を極限まで研ぎ澄ませ、映像の純度を突きつける。
カフカの未完小説を基にしながら、文学的な情緒を排し、徹底して即物的な映像へ昇華させた点に映像化の妙がある。原作の持つ悪夢的迷宮を、冷徹なまでの物質性と空間構成で再構築したことで、階級社会という目に見えない牢獄がより鮮明に、かつ物理的な重圧を伴って浮き彫りとなっている。