このドキュメンタリーは、ローランド・ジョフィが初期作品で描き続けてきた「歴史の荒波と個人の葛藤」という根源的なテーマを鮮明に解き明かします。壮大な叙事詩の中に、壊れやすくも気高い人間性を封じ込める彼の演出術は、単なる記録を超えた芸術の域に達しています。巨匠自らが語る創作の裏側からは、真実を追い求める映画人の狂気にも似た情熱が溢れ出し、観る者の知的好奇心を激しく刺激します。
ロバート・デ・ニーロやポール・ニューマンといった伝説的俳優たちが、ジョフィの厳格な美学の中でいかにして役の魂を震わせたのか。そのプロセスを辿る視座は実に刺激的です。過去という牢獄に囚われながらも、その中で光を見出そうとする人間の尊厳を描く本作は、映画が歴史といかに対峙すべきかという重厚なメッセージを投げかけています。まさに、映像表現の可能性を再確認させてくれる珠玉の考察録といえるでしょう。