あらすじ
16世紀、ある錬金術師によって作り出された金色の奇妙なスカラベ。永遠の命をもたらす「クロノス」と呼ばれる謎の精密機械だった。時は流れて現代、骨董商ヘススは売り物の天使像の中からクロノスを発見し手に乗せたとたん突然動き、彼の手に食い込むと長い針を刺し液体を注入した。不死を得ようとクロノスを探す病床の大富豪デ・ラ・グァルディアは、甥アンヘルから発見の報せを受ける。孫娘アウロラの不安をよそにクロノスの虜となっていくヘススは次第に若返っていくが、同時に血への渇望も沸き起こっていた。
作品考察・見どころ
ギレルモ・デル・トロ監督の原点にして、至高のダークファンタジーである本作は、永遠の命という呪われた渇望を「機械仕掛けの錬金術」という独自の美学で描き出しています。精巧なクロノス・デバイスの造形美と、血への抗いがたい誘惑に悶える人間の生々しさが混ざり合い、観る者の倫理観を静かに揺さぶります。
何より胸を打つのは、怪物へと変貌していく祖父と、彼を無償の愛で受け入れる孫娘の静謐な絆です。フェデリコ・ルッピの気品溢れる悲哀の演技は、ホラーという枠組みを超え、死を受け入れることの尊厳を問いかけます。恐ろしくも耽美な、映像の魔術師による魂の救済の物語に酔いしれてください。