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本作の圧倒的な魅力は、現代の難民問題をギリシャ悲劇の構造へと昇華させた、その峻烈な語り口にあります。ヴク・ルシュモヴィッチ監督は、官僚的な不条理と個人の尊厳が衝突する瞬間を、息を呑むような緊迫感をもって描き出しました。ただの社会派ドラマに留まらず、人間が人間として弔われる権利を問う、普遍的な魂の叫びが映像の端々に刻まれています。 主演のフェレシュテ・ホセイニが見せる、沈黙の中に宿る強靭な意志と哀しみは観る者の心を激しく揺さぶります。法や国境という厚い壁を前に、個の倫理を守り抜こうとする彼女の眼差しは、言葉を超えて「人間の定義」を突きつけてくるでしょう。絶望の淵で光る崇高な精神性こそが、本作が放つ唯一無二の輝きであり、映像表現の極致といえます。
監督: Vuk Ršumović
脚本: Momir Turudić / Vuk Ršumović
音楽: Alessandro Ciani
制作: Mirko Bojović
撮影監督: Damjan Radovanović
制作会社: BaBoon Production / Kinorama / Nightswim / Art & Popcorn