“帰る場所のない女と男と”
風俗嬢で生計を立てる主人公ゆり子。彼女は北海道に娘をひとり、残してきていた。ある日、彼女は娘に会いに行く決心をする。東京という都会で暮らす女性の複雑な心境を、小泉今日子が熱演。
相米慎二監督が遺した最後の傑作であり、魂の再生を圧倒的な映像美で描いています。特筆すべきは長回しが生む独特の空気感です。静謐な雪景色の中に噴き出す生の激情をカメラが凝視することで、観る者は登場人物が抱える絶望の先にある光を、肌で感じるような深い没入感へと誘われます。 浅野忠信と小泉今日子が魅せる、壊れかけた男女の危うい均衡はまさに白眉。虚無を抱えた二人が極北の地で体温を取り戻していく過程は、観る者の心に深い慈しみを刻みます。無慈悲でいてあまりに優しいその眼差しは、孤独な魂を包み込み、明日への微かな希望を灯してくれる珠玉の一本です。
監督: 相米慎二
脚本: 鳴海章 / Raimi Mori
音楽: 大友良英
制作: 椎井友紀子 / 若杉正明
撮影監督: 町田博
制作会社: Be-Wild / Cinequanon / TV Asahi / Tokyo FM