本作の真骨頂は、過剰なほど多幸感溢れるホリデー映画の様式美を、鮮血と絶叫で容赦なく解体する痛快な二面性にあります。一見すると典型的なロマンスのような映像美が、突如として禍々しい狂気へと反転する演出は圧巻。この「居心地の良さ」と「恐怖」のギャップが観る者の予測を鮮やかに裏切り、ジャンル映画としてのエッジを鋭く際立たせています。
タニア・ジェイドらキャスト陣が体現する「完璧すぎる記号的キャラ」が崩壊する様は、現代の理想の虚構性を射抜くかのようです。ホラーと笑いが絶妙な均衡で混ざり合い、美しさの裏に潜む毒を突きつける本作は、既存の価値観を豪快に笑い飛ばす、野心的なエネルギーに満ちた傑作といえるでしょう。