静謐な空気感の中に、言葉にならない微細な感情の揺れを閉じ込めた珠玉のロマンスです。お雛様の髪を整えるという儀式的で繊細な行為を軸に、登場人物たちの心の輪郭が変化していく過程が見事に描かれています。それは単なる恋愛を超え、互いの純真な魂が共鳴し合う聖域の物語として、観る者の胸に深く迫ります。
若手キャストたちの瑞々しい演技も圧巻です。村山優香の持つ無垢で神秘的な透明感と、それを受け止める田中陸の誠実な眼差しが、静かな火花を散らしています。大河内奈々子の存在が作品に伝統的な重厚感を与えており、端正な映像美と相まって、観終えた後も消えない至福の余韻を約束してくれるでしょう。