あらすじ
昭和3年、熊本の花街・ニ本木。男と女の欲望が渦巻く料亭・八雲に女胴師がやって来た。かつて八雲の娘であった城島りんは、そこでかつての父の仇、常次郎を見て復讐の炎を再び燃え上らせる。
作品考察・見どころ
五社英雄監督の耽美な演出が極まった本作は、情念と意地が火花を散らす鮮烈な映像美が最大の魅力です。博打に身を投じる女の生き様が、むせ返るような官能と緊張感の中で描き出され、観る者の視覚と本能を強烈に刺激します。光と影が織りなす極彩色の様式美は、まさに陽炎のように揺らめく宿命の儚さと力強さを同時に体現しています。
主演の樋口可南子が見せる凄絶なまでの気品と、仲代達矢ら名優たちの重厚な演技合戦は見事というほかありません。己の矜持を賭けて勝負に挑む姿からは、単なる勝負事の興奮を超えた、魂の解放という強烈なメッセージが伝わってきます。一瞬の輝きに命を燃やす人間の業を、これほどまでに気高く昇華させた映像体験は、今なお色褪せない輝きを放っています。