本作の魅力は、肉体派スターのアミール・カラーラが放つ、従来の硬派なイメージを覆す人間味溢れるギャップにあります。凶悪な過去を持つ男が予期せぬ事態に翻弄される姿を、ヤスミン・サブリーらとの絶妙な掛け合いで描き、作品に類まれな躍動感と中毒性を与えています。
単なるアクションを超え、過去のレッテルを脱ぎ捨てようとする葛藤や「父性」への目覚めが、笑いの中に鋭いメッセージとして刻まれています。畳み掛ける演出は観客を爆笑の渦に巻き込みつつ、最後には心地よい高揚感で包み込む。エンタメの真髄を極めた、魂を揺さぶる快作です。