光と影が交錯する都市の片隅で、失われゆく視覚と記憶を静謐な映像美で描き出す傑作です。夜盲症という肉体的な不自由さを、孤独な魂が抱える明日への不安のメタファーへと昇華させた演出が実に見事です。冷徹な風景の中に時折差し込む柔らかな光が、観る者の心に深く染み渡ります。
名優リー・ミンジョンが見せる、抑制された中にも激情を秘めた演技は圧巻の一言。他者との邂逅を通じて閉ざされた心が溶けゆく様は、冷え切った現代社会において人間の再生を信じさせてくれます。静かな感動の中に、他者を想う真摯な眼差しが輝く、魂を震わせる珠玉のヒューマンドラマです。