あらすじ
毎夜悪夢にうなされる夢二。そんな中、夢二は駆け落ち相手の彦乃と落ち合うべく金沢近郊の湖畔へとやって来る。だが、彦乃は現われない。そして、静かな村に銃声が鳴り響く。旅館の女将は、鬼松という男が妻と妻を寝取った男・脇屋を殺し山へ逃げ込んだため、山狩りをしているのだと教える。一方湖では、殺された脇屋の妻・巴代が湖面にボートを浮かべ夫の死体が浮かび上がってくるのを待ち続けていた。その姿を目にした夢二は次第に巴代の虜になっていく。
作品考察・見どころ
鈴木清順監督による美学の結晶たる本作は、映画という枠を超えた絢爛な視覚芸術の極致です。現実と夢、生と死が曖昧に溶け合う迷宮のような世界観は、観る者の三半規管を狂わせるほどの眩暈を誘います。色彩の暴力とも呼べる圧倒的な絵画的構図の連続は、一瞬一瞬が永遠に刻まれるべき美しさに満ちており、観客を陶酔の深淵へと引きずり込みます。
主演の沢田研二が放つ妖艶な色香と、坂東玉三郎や原田芳雄らの強烈な個性が火花を散らす様は圧巻です。愛と芸術への執着を、理屈ではなく感覚の奔流として描き切った本作は、映像表現が到達し得る最高峰の純粋なエロティシズムと美学を提示しています。思考を止め、ただその底なしの美しさに身を委ねる悦楽を、ぜひ体感してください。