“三度びお会いして、四度目の逢瀬は恋になります。死なねばなりません。それでもお会いしたいと思うのです。”
たび重なる偶然から知り合った品子という謎の美女の誘いで現世ともあの世ともつかぬ世界で翻弄される劇作家の姿を描く。
鈴木清順監督による大正三部作の白眉。色彩の暴力とも言える映像美と、現実と幻が溶け合う幽玄な世界観が最大の魅力です。泉鏡花の原作が持つ絢爛豪華な語り口を、映画は動く絵画として再構築しました。虚実の間に観客を突き落とす過剰な演出、そして大正浪漫を体現する松田優作の静謐な色香が、作品に類まれな生命力を吹き込んでいます。 文字では捉えきれない鏡花特有の魔界の気配を、様式美極まる映像へと置換したことで、原作の幻想性はより官能的に増幅されました。理屈を越えた先に立ち現れる、生と死、愛と狂気が交錯する万華鏡のような空間は、まさに映画という媒体でしか到達し得ない究極の迷宮体験。観る者の理性を奪い去る、魔術的な引力に満ちた傑作です。
監督: 鈴木清順
脚本: 泉鏡花 / 田中陽造
音楽: 河内紀
制作: 荒戸源次郎
撮影監督: 永塚一栄
制作会社: Cinema Placet