この作品の真髄は、パブロ・リバとチャン・ソン・キムが織りなす、絶妙な緊張感と化学反応にあります。日常の風景をシュールな滑稽さが同居する空間へと変容させる演出は圧巻です。揺れ動く感情がセリフよりも沈黙や繊細な表情で雄弁に語られる点に、本作の並外れた映画的センスが光っています。
過去の人間関係を独自の視点で切り取った本作は、観る者に自己の未熟さを愛おしく再発見させます。執着と解放の狭間で翻弄される姿は悲哀を誘いながらもどこか救いがあり、人間の不可解さを祝福しているかのようです。日常に潜む非日常的な可笑しみを見事に捉えた、稀有な傑作といえるでしょう。