この作品の真髄は、タイトルが示す通り「原点」へと回帰する刹那の美学に集約されています。余計な装飾を削ぎ落としたソリッドな映像美は、観る者の内面にある空白を鋭く突き刺し、沈黙さえも雄弁なメッセージへと変貌させます。一瞬の静寂が孕む圧倒的な緊張感こそが、本作が放つ至高の魅力と言えるでしょう。
演者の微細な表情の変化は、言葉を超えたエモーションを観客の心に刻み込みます。終わりのその先、あるいは始まりの前夜を提示するような深遠なテーマ性は、混沌とした日常において「真の自己」を問い直す強烈な磁場を持っています。映像表現の可能性を極限まで突き詰めた、純度の高い作家性に魂が揺さぶられる一作です。