このドキュメンタリーは、ディーター・ロスという異才の脳内を覗き込むような、極めて感覚的な体験をもたらします。崩壊と創造が背中合わせになった彼の創作スタイルを、カメラは執拗に、かつ詩的に捉えています。単なる記録を超え、素材が腐敗し変容していく様に生の本質を見出す鋭い視座が、観る者の美意識を根底から揺さぶります。
映像は、断片化されたロス自身のアイデンティティを再構築するパズルのようです。無秩序の中にある種の調和を見出す演出は、観る者に完成とは何かを厳しく問いかけます。一瞬の閃きと膨大な時間の蓄積が火花を散らす、その狂気じみた情熱と知性の残滓に、激しく圧倒されること間違いありません。