クロード・シャブロルが描く本作の真髄は、優雅なブルジョワジーの生活に潜む血の呪縛を冷徹に暴き出す視座にあります。過去の罪が時を超えて現在を侵食する過程を、静謐ながらも息の詰まる緊張感で描き出す演出は、まさに巨匠の真骨頂です。陽光降り注ぐ邸宅さえも逃れられない運命の檻に変貌させる、その倒錯した映像美に圧倒されます。
ナタリー・バイの気品に満ちた佇まいと、その裏に滲む危うい心理描写は観る者を深淵へと誘います。歴史は繰り返され、罪は遺伝するという残酷な真理を突きつけつつ、人間の業をこれほど不気味に昇華させた手腕は見事です。静かな食卓に漂う悪の華の芳香に、抗いがたい魅惑を感じずにはいられません。