ヴァン・ジョンソンとジューン・アリソンが放つ、弾けるようなケミストリーが本作の白眉です。品行方正なイメージを覆す奔放な役柄と堅物なヒロインが織りなすギャップの妙は、スクリューボール・コメディの真髄と言えます。洗練された会話劇に愛の予測不能なエネルギーを閉じ込めた演出は、今なお色褪せない輝きを放っています。
物語の根底には、既成概念からの解放という普遍的なメッセージが流れています。完璧さよりも素直に生きる尊さを描いた演出は、観客の心を理屈抜きに解きほぐします。脇を固めるヒューム・クローニンの妙技も相まって、映像ならではの軽快なテンポで「人間味」の本質を突きつける、鑑賞後感の爽快な珠玉のラブコメディです。