本作は、日野日出志が描く猟奇的な世界観を、狂おしいほどの情念で実写へと昇華させた傑作です。最大の見どころは、山本未來が体現する「究極の母性」の暴走でしょう。ただ恐ろしいだけでなく、異形の存在を愛さずにはいられない人間の業と悲哀が、執拗なまでの血の演出を通して観る者の倫理観を激しく揺さぶります。
特筆すべきは、伝説的な原作漫画を映像化するにあたっての卓越した表現力です。二次元特有のデフォルメされた恐怖を、生々しい肉体の質感と不穏な静寂という実写ならではの武器で再構築しています。原作が持つ生理的な嫌悪感を維持しつつ、映像でしか到達し得ない肉感的で逃げ場のない絶望感が見事に表現されています。