本作が放つ最大の魔力は、逃れようのない閉塞感と表裏一体となった耽美的な映像美にあります。古びた屋敷という限定された空間の中で、光と影を巧みに操り、登場人物たちのひりつくような孤独と内なる熱を浮き彫りにする演出は圧巻です。完璧な円を描こうとする純粋な渇望と、それが孕む危うい官能性が、観る者の倫理観を静かに、かつ深く揺さぶります。
主演のラファエル・モライスが見せる繊細な脆さと、それを取り巻くキャストたちの重厚な存在感が、禁忌の境界線上で生きる人々の葛藤を極限まで引き出しています。不完全な現実の中で理想という名の円を追い求める人間の業を描ききった本作は、鑑賞後もしばらく心から離れない、魂の震えを呼び起こす傑作と言えるでしょう。