SABU監督特有の疾走感が極限まで研ぎ澄まされた本作の本質は、不条理な連鎖に翻弄される人間の滑稽さと悲哀を、圧倒的な運動量で描き出した点にあります。主演の堤真一が見せる、追い詰められた人間の必死かつ滑稽な表情と、画面から溢れ出す剥き出しのエネルギーは観客の心拍数を容赦なく跳ね上げ、一瞬たりとも目を離させません。
偶然が最悪のタイミングで重なり合う「負の連鎖」を笑いに転換する演出は実に見事です。運命という名の巨大な暴力に抗おうとする主人公の姿は、現代社会を生きる私たちの不器用さと力強さを同時に突きつけます。理屈を超えたスピードの先に、日常の閉塞感を撃ち抜くような痛快なカタルシスが宿る、唯一無二の映像体験と言えるでしょう。