“映画で遺書を残して死んだ男の物語”
全共闘運動が行き詰まりをみせ大衆路線から離反し過激化しだした頃、ひとりの学生活動家が撮りかけの映画を残して死ぬ。彼は何を撮ろうとしていたのか?そもそも男は本当に実在したのか?
大島渚監督が70年前後の混沌を切り取った本作は、敗北した革命の「後」を生きる若者の喪失感を、映像という鋭利な刃で抉り出しています。風景論の極北とも言える演出は、ありふれた街角に国家の暴力性を浮かび上がらせます。カメラを向ける行為が自己を破壊し、再構築する闘争へと変貌していく過程は、今なお鮮烈な衝撃を放っています。 虚実が曖昧になる構成の中で、キャストたちの痛々しい存在感が、歴史の闇へと消えゆく個人の叫びを体現しています。これは単なる政治映画ではなく、目に見えない戦争の痕跡を追い求める視線の狂気を描いた傑作です。観る者の網膜に、モノクロームの都市が幻影のように焼き付いて離れないでしょう。
監督: 大島渚
脚本: 田村孟 / 佐々木守 / 大島渚
音楽: 武満徹
制作: Taguchi Yamaguchi
撮影監督: 成島東一郎
制作会社: Sozosha / Art Theatre Guild