本作は、人間の根源的欲求である「食」を、生々しく形而上学的な領域へ昇華させた実験映像の傑作です。執拗なクローズアップと光影の美学は、単なる食事を自己と他者の境界を曖昧にする儀式へと変貌させます。視覚のみならず触覚までも刺激する強烈な映像言語は、観る者の本能を激しく揺さぶるでしょう。
若き日の岸田森らが見せる、言葉を超えた身体表現の凄みも圧倒的です。理性という仮面が剥がれ、本能が剥き出しになる瞬間を捉えた演技は、静謐ながら凄まじい熱量を放ちます。60年代のアヴァンギャルドな精神を象徴する本作は、映像が持つ根源的な力と、人間の終わりなき空腹を突きつける衝撃的な体験となります。