本作の最大の魅力は、タイトルの問いかけが示す通り、主人公クリフ警部の徹底した非道さと、善悪の境界線が完全に消失した退廃的な世界観にあります。マッシモ・ダラマーノ監督は、都会の闇に潜む人間の業を冷徹な視点で切り取りました。イヴァン・ラシモフが体現する、冷酷さと野心が同居した氷のようなカリスマ性は、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。
全編を支配する虚無的な空気感と、泥臭い暴力の中に宿る美学は見事というほかありません。正義という欺瞞を剥ぎ取り、生々しいエゴイズムの衝突を様式美へと昇華させた演出は、イタリア映画黄金期のギラついたエネルギーに満ちています。現代のクリーンな作品では決して味わえない、劇薬のような刺激に満ちた至高の一本です。