寺山修司という鬼才が放つ、映像の迷宮。本作の最大の魅力は、スクリーンの内側と外側の境界を無効化する、挑発的な空間設計にあります。新高恵子らの強烈な存在感は、単なる役を越え、観客の記憶の深層へと侵食してきます。受動的な鑑賞を拒絶し、観る者を異界へと引きずり込むその魔力は、公開から半世紀を経てもなお色褪せることがありません。
映像が静止画へと溶け込み、あるいは肉体そのものが記号へと化す。そこには、言葉にできない視覚的な沈黙と叫びが共存しています。虚構と現実が交差する迷宮の中で、私たちは自己のアイデンティティさえも見失うでしょう。本作は、映画というメディアが持つ根源的な呪術性を、極限まで研ぎ澄ませた至高の体験なのです。