本作の魅力は、断絶された時間と記憶を「手紙」という極めて個人的な媒体を通して繋ぎ止める、その静謐な力強さにあります。歴史の荒波に翻弄された個人のアイデンティティが、ウエスカという土地の風景と重なり合い、観る者の心の奥底に眠る郷愁を激しく揺さぶります。沈黙が饒舌に語りかけるような、映画ならではの詩的な空間構築は見事と言うほかありません。
名優フェルナンド・フェルナン・ゴメスの重厚な演技は圧巻です。彼の刻まれた皺の一つ一つが、過ぎ去った年月の重みを言葉以上に語り、真実を突きつけてきます。光と影が織りなす映像美は、喪失と希望の間で揺れ動く人間の脆さを浮き彫りにし、単なるドラマを超えた哲学的な思索へと誘う至高の映像体験を約束してくれます。