チェコスロバキア喜劇の黄金期を象徴する本作は、軽妙な会話劇の中に人間の滑稽さと愛おしさを凝縮した至高のアンサンブル・コメディです。イジー・ソヴァークをはじめとする名優たちが織りなす絶妙な間と、日常の些細な出来事を極上の笑いに昇華させる演出の妙は、時代を超えて観る者の心を掴んで離しません。
単なる娯楽作に留まらず、人生の節目に立つ家族の揺れ動く心理を鋭く、かつ温かく描き出している点が本作の真髄です。緻密に計算されたユーモアの裏側に流れる、普遍的な人間愛と楽天的な人生観。それらが映像の端々から溢れ出し、鑑賞後には何とも言えない幸福感と明日への活力が湧き上がってくることでしょう。