本作の魅力は、平穏な日常が狂気に侵食される心理サスペンスの妙にあります。キャスリン・コフートとレベッカ・リディアードが繰り広げる、火花を散らす演技合戦は圧巻です。観客は誰を信じるべきかという疑念の渦に突き落とされ、微細な表情の変化に込められた緊迫感から片時も目が離せなくなります。
家庭という聖域を逃げ場のない檻へと変貌させる演出は見事です。身近な者の正体を知る恐怖と、完璧な生活の裏に潜む欺瞞というテーマを鋭く描き出しています。スタイリッシュな映像美の中に冷徹な毒を含ませた本作は、観る者の本能的な警戒心を呼び覚ます、スリラー愛好家必見の衝撃作といえるでしょう。