静寂の中に潜む魂の叫びを、冷徹かつ端正な映像美で描き出した一作です。逃れられない停滞と、愛する者を守ろうとする親たちの痛切な祈りがスクリーンの端々から滲み出ており、観る者の倫理観を静かに揺さぶります。全編を支配する抑制されたトーンが、かえって内面の感情の激流を際立たせる演出は実に見事です。
チュルパン・ハマートヴァとグリゴリー・ドブリギンは、絶望の淵で「生」を繋ぎとめようとする人間の強さと脆さを体現しています。言葉を失った子供の沈黙が、社会の歪みや冷酷さを雄弁に語る構成は圧巻です。絶望の中でなお静かに燃え続ける人間性の灯火を捉えた、忘れがたい衝撃作と言えるでしょう。